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1: ◆WXIE0KHOPc 2019/06/11(火) 23:09:03.69 ID:17uvMvXx0

地の文ありです。
よろしくお願いします。





2: ◆WXIE0KHOPc 2019/06/11(火) 23:12:32.40 ID:17uvMvXx0

「それじゃあ……いってきます」

「いってらっしゃい。短い時間だろうけど、大切にね」

前日までの緊張感が嘘のように今朝のホテルは静まり返っていた。昨夜のライブの熱気も感じられない
今年開催されている事務所主催の全国ツアー
この大阪での公演は金曜・土曜の二日間開催だったため、日曜日は大半のメンバーがオフスケジュールとなっていた

そのため帰りの新幹線の時間まで観光を楽しんだりライブの疲れを癒やしたりとそれぞれ思い思いの時間を過ごしている

そして、私は……



3: ◆WXIE0KHOPc 2019/06/11(火) 23:14:50.58 ID:17uvMvXx0


・・・・・・

ひとり電車に揺られていると東京へ行った日のことを思い出す
あのときは緊張と不安でいっぱいで何もかも怖くてしかたなかった
今はもう乗り換えだって迷わない。これもひとつの成長……かも?


何度か電車を乗り継いで着いたのは都会の喧騒とは無縁の静かな町
駅のホームを降りた先にはビルはもちろん、ロータリーも、コンビニだってない
私は生まれ育った町に帰ってきた



4: ◆WXIE0KHOPc 2019/06/11(火) 23:16:03.25 ID:17uvMvXx0

すこし前までよく見慣れた景色はどこも変わっていないはずなのに、なぜだかずっと小さく思えた
感慨とちょっぴりの寂しさを覚えながら辺りを見渡す。――駅まで車で迎えにきてくれる約束だった
路上に停められている車はたった一台。すぐに見つけられた
あの頃は毎日目にしていたけれど、乗ったことはほとんどなかった気がする

私は駆け足で車のほうへむかった。最初の一言はもう決めてある



5: ◆WXIE0KHOPc 2019/06/11(火) 23:24:28.66 ID:17uvMvXx0

「ただいまっ」

車に乗り込んだときと同じ言葉で玄関に一歩足を踏み入れる
漂う香りは変わりなくて懐かしい心地がした
ごくありふれた2階建ての一軒家
けれどそれは、小さい私がひとりで過ごすにはあまりに大きかった